「ストーリーを知る」ことは、何かを簡単に理解するテクニックのひとつです。
ストーリーがないと知識は体には入り込まないからです。
だから僕は「会計と財務のワークショップ」においても、ストーリーを大切にしています。
会計の原則の一つに「発生主義」があります。
とある有名教科書にはこう書いてあります。
「発生主義:会計原則の一つで、現金の収入や支出に関係なく、
収益や費用の事実が発生した時点で計上しなければならないとするもの」
この説明で意味が頭に入ってくる方は玄人さんです。
僕が愛する素人さんには、ぜんっぜん分かりませんね~!
いわんや、ちっとも面白くありませんね!!!(笑)
でも、発生主義の裏にはこんなストーリーがあるのです。
時は18世紀半ば、イギリスで産業革命が起こります。
蒸気機関車が発明され、国中に鉄道を張り巡らすことになりました。
国中に鉄道を引くには、初期投資がものすごい金額になることは分かりますよね。
いくらか知りませんが、線路も蒸気機関車も高そうです。
最初の1年は、線路を引くだけで終わってしまい、
お客さんを乗せて走るところまでいかないかもしれません。
そんな企業の会計をそのまま1年で締めたら、費用ばかりかかって、
まったく収益がないことになります。
でも、それって本当にその企業の状態を表していると言えるでしょうか?
線路や蒸気機関車は1年で使い切ってしまうものではなく、
何年にもわたって使われるものですよね。
そこで編み出されたのが、
「最初にかかった費用を、使う期間(耐用年数)で分割計上する」
というやり方なのです。
これを知っただけでも、財務諸表の見方が変わりませんか?
あなたが分析しようとしている企業の温度や湿度が感じ取れるようになりませんか?
僕が皆さんに習得してもらいたいのは、
財務諸表から少しでも「現場で起きている事件!」を感じ取る技術なのです。
だから、僕はストーリーを大切にしています。
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